雨が降っていたんだけど、久しぶりに日本橋に行こうと思ったのであった。
電車の座席に座っていると目の前にキティちゃんのぬいぐるみを持った女の子が座っていた。年齢は2~3歳くらいかと思われる。隣にはその子のお父さんの思し召しき人が座っていた。私と年齢はそんなに変わらないように見えた。
その少女が途中で暴れ出したのだった。座席に座らない。でも立つわけでもない。
体をぐにゃぐにゃとしだし不可解な行動をしはじめたのだった。そんなに大きな声を出しているわけではないけど、猫のサカリの時のような声を発しているのだった。隣のお父さんもその子が何がしたいのか分からずに困惑しているように私には見えた。

私はじ~っとその光景を見ていた。電車は特に混んでいるわけでもないのでその少女の行動は別に周りに迷惑をかけているってわけでもない。何がしたいのかさっぱりわからなかったんだけど。。。。少女が背伸びをしだす。ここで私も気がついた。
隣のお父さんも気がついたようだ。
少女はつり革を握りたかっただけであった。父親がだっこして少女につり革を握らせてやるとその子も満足したように今まで奇声を発していたのだけど、かわりにケラケラといった笑い声にかわった。

父親が少女を抱っこして、少女がつり革を掴んでいる。少女の顔をよく見ると、すまし顔になっているのだった。この光景を見ていると自分も小さい頃はこのつり革を見ると掴みたくてしかたがなかった事を思い出す。
とりあえずつり革を掴みたかった。両手で掴んでぶら下りたかった。
小学生になると背伸びしてつま先立ちでつり革にぶら下ると得意げになったりしたもんだ。なんだろうね?小さい頃はつり革に手が届かなく凄い程遠い存在であったのだ。あのつり革が神秘的なものだったんだよな。
でも、大人になったら簡単に手が届くようになるとその価値観も落ちてしまった。子供の頃に感じた思いなんかも一瞬に消えうせてしまったんだよね。

私は小さい頃はつり革を見ると掴みたくてしかたがなかった。
しかし私はこの少女のように意思表示はしなかった。親に迷惑をかけるのはよくない事と思っていたためだ。基本的に自分は小さい頃からしたい事も何も発せずに我慢してきたように思う。親曰く「お前は手のかからない子だったよ」とよく言った。
いつも願望があっても指をくわえて我慢してきたし、それか自分には無理なことだと思いこみあきらめてきたんだよな。それが溜まりにたまっていくと何も欲しなく何の行動もとらない大人になってしまったんだ。
今の僕がこうなったのも。。。その為かも。。。
そう考えるとなんだか辛い。
子供の頃にもっと子供らしく行動していたなら。。。もっと違った人生になっていたんじゃないかと思うんだよね。

あの時、僕もこの女の子のように吊り革にぶら下りたかったんだよ。